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老後は田舎に移住して住むというのはやめた方がいい

inaka

以前、テレビ番組で「老後は田園広がる田舎で自然と共に暮らしたい」というようなことを話している場面を見たことがあります。

その田舎暮らしの良さを伝える映像では、家庭菜園をしたり地元の美味しい食材を食べたり、安い不動産物件、また地元の人との温かい交流もありながら都会(大都市)とは違うゆったりとした環境で生活も送れることに価値を見出す形の印象を受ける番組でした。

また、この番組以外にも都会にはない田舎の風景やそこで暮らす温かい人たちとの交流、地元でとれた食材を使用した美味しい食事の数々、そして安い不動産価格と田舎の良さを伝える番組をいくつか目にしてきました。

テレビの映像や印象を真に受けてはいけない

正直、私もこのような作りの映像を見ているとその町に興味がわいてきます。

しかし、テレビの特性として絵にならない映像、見ていてツマラナイと思うような番組をわざわざ作りません。映像を取るカメラマンはプロとして良い映像を撮ります。

また、番組としてテーマやストーリーに沿って編集していくはずで、作る側の意図したスタンスや構成が番組や映像に反映されています。

仮に「田舎の良さを強調したり印象付ける番組」がある場合、負の面を出すとしてもサラリと触れる程度で、本当ならもっとあるはずの大変なことろよりも田舎の良さを印象に残るように仕上げるはずなので真に受けてはいけないということです。

ところで田舎とは

どのくらいの街が田舎なのか人によってイメージが違うと思います。東京からするとほとんどの街は田舎みたいなものです。

他にも人口100万人以上に街に住んでいる人がそれ以下の街に行くと田舎の印象をもつかもしれませんし、地下鉄がない街に行くと田舎だと思う人もいるかもしれませんし、人それぞれだと思います。

ここで書く田舎は市町村でいうと町や村で人口数千人以下の街で、近くに中核都市やそれに近い都市機能がある街が近くに無いようなところです。また市でも中心地からかなり離れた地域も含みます。

それにバスや車で5、10分で行けるところに都市機能(食料品、医療機関(病院)など)の整った街がないところです。

田舎に住むのがダメなわけではない

まず本題の前に老後に田舎へ移住するのはお勧めはしないんですが、しかし田舎がダメだというわけではありません。住めば都という言葉がありますから。

また、田舎で生まれ育ち都会に住んでいたれど故郷に戻りたい、昔のつながりのある人たちと過ごしたいなど心の安住の地を求めるのもありだと思います。

しかし、ずっと都会暮らしをしてきてイメージだけの良い田舎に憧れて老後に移住する、安易に田舎暮らしをするための移住はお勧めできません。

移住することに憧れる心境

移住したいときの心境というのは、現状に不満があるか、もしくは移住先に希望を抱いているか、また何かの期待をしているはずです。

特に目的もなく移住先に希望や期待を抱いている場合、冷静さが必要です。

この期待や希望の心境を例えるならば、高校から大学へ進学するとき(今まで住んでいた街から違う街へ引っ越すような進学)の場合、「何かわからないけれど新しい何かがあるのではないか」と期待しているようなものに近いと思います。

進学の場合は、若さもあり活動もしやすく何かあるかもしれませんが、自分の条件が違うということを忘れてはいけません。

老後に田舎に移住するのはやめた方が良い理由

現実の問題として金銭面のことについて、生活の土台が今まで暮らしてきた都会にある中、田舎は安いと思う動機で移住しようとするのはやめた方が良いです。

※老後の収入が少なく今よりも生活費が掛からないところに住むというのはあるはずです。この場合は、ここで書いている田舎に移住する話とは別の話になります。(都市機能のある街に引っ越すなら良いことだと思います。)

安いのは不動産など住まいに関する物だけ

田舎は何でも安いと思っている人もいるかもしれませんが、社会保障(介護や国保の保険料)など田舎の方が高い可能性もあります。また当たり前ですが田舎に移住するので別途費用が発生します。

老後収入が年金だけで賃貸に住んでいる場合、都会より地方の方が賃貸物件は安いので引っ越すのは良いんですが、移住先の田舎にはそもそも物件がない可能性が大きいですし、ここで指す田舎とは地方とは意味が違います。

そもそもここでいう田舎とは、小さい商店があるかどうか、もしくは農協系のお店があるかもしれない田舎のことで競争がない地域です。なので食料品や日用品の価格は安いわけがありません。

また、衣料品や食料品の品数が少ないので他の街まで買出しにいく場合は、交通費も余計にかかります。

医療機関が少ない・診療科目が少ない

老後ということで年齢的な病気のリスクが高くなっています。そこで移住するにあたり医療体制も重要な要素になってくるはずです。

田舎には、診療所があるだけで病院がない田舎もあります。場合によっては、他の地域のある病院に行く、また通わなければいけないことになります。

それに医療機関があっても診療科目も専門の眼科や外科、また歯科がない場合もあります。

また急な病気のときに医療機関まで行く(運ぶ)のに時間がかかる可能性が高いです。高度な医療をするための機器類がない可能性も高く田舎で高度な治療は期待できません。

ゼロから人脈や繋がりを構築しなければいけない

移住することで、今まで住んでいて構築されていた繋がりや親しい人とほぼ交流がなくなる可能性もあります。逆に新しく親しい人を作り、地域の繋がりを構築していかなければいけなくなります。

また、今まで住んでいる地域や近くに子供や親せきがいる場合、会える機会や回数は減ることが想定できます。

都会から田舎に移住するときに覚悟することの一部

今まで書いたこと以外にも都市機能が整ったそれなりの街から田舎に移住するとなると色々な違いがあります。例えば、園芸や家庭菜園をしたいと思っていても田舎の方が売っている場所や種類が少ないなんてこともあります。

この他にも田舎に住むにあたり下のリストのことが都会と違うということを念頭に置いておく必要があります。

  • 国保・介護保険料が高い可能性がある
  • 日用品や食料品は安くない。
  • 食料品の品数が圧倒的に少ない。
  • 衣料を扱う店が少ない、またはない。
  • 書店がない。または小さく品数はない。
  • 中規模の書店はない。
  • 理容院・美容院は少ない。
  • 理美容院がないときは、バスや車で行く必要がある。
  • 専門店が少ない、または無い。
  • ホームセンターがない。遠い。
  • 病院がない。もしくは診療所しかない。
  • 病気や持病によっては、自治体をまたいで行く必要あり。
  • バスの本数が少ない。
  • 電車が無い。または本数が少ない。
  • 人口は少ない分、地域の持ち回りの役割をする必要がある。
  • いつまでたってもよそ者で終わる可能性がある
  • 年老いていく中で、再度引越しをする可能性が高い。
  • 子供がいる人の場合、会いに行く、会いに来るのが少なくなる。
  • また移住先によっては知人・親戚(子供)に会うのに大きな出費を伴う。
  • 知人や親せきとの交流がほぼなくなる。
  • ゼロから知り合い、友達作りを始める必要がある。

最後に

老後というと60歳・・・これからは65歳定年制になっていくんでしょう。

平均寿命、男性と女性で違いますけれど、定年のあとそこから80や85歳まで生きるとして健康なうちは良いけれど、そうでなくなった時で都会に戻りしたくても出来ない可能性があります。

仮に再度引越しするとなると新たな出費が伴う金銭面の場合もあるでしょうし、戻った街に知り合いがいなくなっている可能性もあります。

歳と共に体が弱ったり不安を感じたり寂しさもあるのかもしれませんが、生まれ故郷を捨てて「子供が住んでいる街に引っ越すんだ」という話も聞いたことがあります。

色々リスクや都会との違いはありますけれど老後に田舎に移住しようと思ったときは、最低でも身近な人に相談するべきですね。